「子供の貧困」が大きな社会問題になっています。一人ひとりの小さな力を持ちよって、地域完結型のこども支援の仕組みを作りたいと思います。知恵ある人は知恵を、行動力のある人は行動力を、時間のある人は時間を、人脈のある人は人脈を、食糧のある人は食糧を、それぞれ自分の持っているものを提供してください。

 

 

 私が生まれた昭和20年は、言うまでもなく敗戦の年です。日本全体が貧しかった。田舎の学校ではズボンにツギが当ててあっても、靴に穴があいていても恥ずかしくはありませんでした。地方の中核市にある高校に入りました。入学のとき買ってもらったズボンやシャツが、急速に身長が伸びたので、まもなくつんつるてんになってしまいました。短いズボンが恥ずかしくて、ベルトを下に押し下げるとシャツがはみ出しそうで困りました。シャツの袖も短くなってしまって、袖を引っ張ったり腕を短く見せようとしたり・・・でも親には買ってくれとは言えませんでした。ほろ苦い青春の思い出です。

 

 幸いにも日本育英会(現・日本学生支援機構)の奨学金のおかげで大学に行くことができました。卒業後18年で完済しました。とはいえ、奨学金の一部は返済免除だったし、多分無利息だったと思います。さらに借りた時と返した時では貨幣価値がまったく違っていたのです。それが今日に至るまで心のなかには、大きな「借り」があるように感じているのです。

 

 数年前に「フードバンク」を知りいろいろ調べましたが、社会福祉協議会であったり、NPO法人であったりが何人ものスタッフを擁して運営されているものばかりでした。地域完結型の小さな形で子供支援ができないかと考え、区役所の児童福祉課に相談に行きました。担当職員の「子供の貧困」に対する関心は「皆無」でまったく話になりませんでした。社会福祉協議会に行ったところ、「ボランティアの相談は受け付けていません」の一言でおしまいでした。

 

 このホームページ作成中の2016年6月13日の読売新聞に「フードドライブ」に関する記事が載っていました。初めて知る言葉でした。個人からの食品の寄付で子供を支援するというものでした。この記事を見た瞬間に「あっ、これならできる!」と思いました。

 

 大きなことはできません。身の丈に合ったかたちで、活動を開始します。現在、私の眼には具体的な形での「子供の貧困」は見えません。でもこの地域にも支援を必要としている子供はいるはずです。食糧支援から、できれば学業支援まで発展できればいいなと思います。私の心の中の「借り」を完済できる日が来ますように!(合掌)

 

 スタッフ募集

 

 

 食料品を寄付していただくための「寄付依頼」のチラシを作りました。8月31日にそれを持って、地域の食品販売会社、スーパー、食品小売店、ドラッグストア、奥様が病院の食堂関係の仕事をしている私の友人宅を訪問しました。2か所で協力してくださるという嬉しい返事をいただきました。大きな会社では、この地域にあるお店の責任者の一存では実施できないので上部組織に話はしますというご返事でした。

 

チラシの全文を掲載します。

 

 

 

「子供の貧困」について、食料寄付のお願い

 

 

 近年、「子どもの貧困」が大きな社会問題になっております。厚生労働省が2014年にまとめた報告書によりますと、日本の子ども(17歳以下)の相対的貧困率は16.3%です。これは、日本の子どもの約6人に1人が貧困状態にあることを示しています。2014年のOECD(経済協力開発機構)のまとめでも、日本の子どもの貧困率は、先進国34ヶ国中10番目に高い数字でした。

 

「子どもの貧困」は、栄養バランスのとれた食事を十分にとれないだけでなく、子供の教育格差・学力格差を生み出すことが大きな問題となっております。

 

2013年度の全国学力テストの結果を分析しますと、世帯収入の多寡で学力テストの正答率に約20%の開きが生じていました。世帯収入の低い家庭(子どもにかけられる学校外教育費の少ない家庭)の子どもほど、学力テストの正答率が低いことがわかります。家庭の経済格差が学力格差を生んでいるのです。

 

「子どもの貧困」は、子どもから学習の機会やさまざまな体験活動の機会を奪うことにつながります。教育機会に恵まれなかったことで低学力・低学歴になってしまった子どもは、大きくなったときに所得の低い職業につかざるを得なくなり、更には彼らの下の世代にも貧困が連鎖してしまうのです。この連鎖はどこかで断ち切らなければなりません。

 

 

 

一方、日本の食品廃棄量は世界でも12位を争うほど高いと言われております。政府広報によれば、日本では年間1900万トンの食品廃棄物が出ており、これは世界の7000万人が1年間食べていける量だといいます。そのうち、まだ食べられるのに捨てられてしまう、いわゆる「食品ロス」が500万トンから900万トンもあるといわれています。日本は食料の多くを海外からの輸入に頼っていますが、その半分近くを捨てていることになります。

 

 

 これらの現状に鑑み、「フードドライブななさと」を立ち上げました。個人・法人を問わず、まだ食べられる食品がありましたら、ご寄付いただき、それを必要としている子供たちに配布する仕組みを作りたいと思っております。多くの皆さまのご意見、ご協力をいただきながら、一日も早く実現する決意ですのでよろしくお願い致します。

 

 

 

  見沼区東宮下441  和田圭二

                      電話 048-684-3864

 

 

 


 

 

子どもの貧困について

 

 

 厚生労働省の「人口動態統計 2014年」では、婚姻件数は649000組で婚姻率(人口1000対)は5.2と推計され、離婚件数は222000組で離婚率(人口1000対)は1.77と推計されます。そこから導き出されるのは、日本において3組に1組が離婚しているという事実です。

 

 離婚率は19歳以下の女性が約60%にもなっており、2024歳の女性でも40%を超えています。全体の離婚率が若い24歳以下の年代に引っ張られているとみられます。

 

 なぜここまで高いのか、厚生労働省の報告による「人口動態調査特殊報告(2002年)」では「第一子の出生数のうち結婚期間が妊娠期間より短い出生割合」つまり「出来ちゃった結婚」の割合は、15歳~19歳で81.7%、20歳~24歳では58.3%という結果が見られます。以上のような極めて明快な原因による離婚率の結果であることが分かります。

 

離婚はめずらしくない

 

 内閣府の「国民生活選好度調査」(2005年)からは、離婚肯定割合から離婚否定割合を引いた差は25歳以上すべての年代で30%を超えています。この調査結果を見ると離婚はめずらしくない、特殊なことではないと捉えている人が多いことが分かります。社会全体が離婚に対する許容度が高まっていて、特に女性側に離婚を肯定する層が多いのも特徴です。

 

ひとり親世帯の現状について見てみたいと思います。

 

 1988年から2011年までの25年間で、母子家庭は84.9万世帯から123.8万世帯に、約1.5倍に増えています。

 

 

(注) 母子又は父子以外の同居者がいる世帯を含めた全体の母子世帯、父子世帯の数

 

 

ひとり親世帯になった理由を見てみると、25年間で「離婚」が約20ポイント増えています。

 

 

 

ひとり親家庭の就業状況

 

 就業率は母子家庭80.6%、父子家庭91.3%と一般家庭に比べると高く、母子家庭の非正規雇用は

57.0%と高くなっています。また年間の就労収入は、母子家庭では181万円と他の家庭に比べて極端に低いのが現状です。

 

 

ひとり親家庭の養育費、教育費、相対的貧困率等

 

 養育費は取り決めてはいても、実際には受け取れていない現状が分かります。大学進学率はひとり親家庭では、全世帯の半分以下です。経済格差が、教育の格差に結びついている現状がよくわかります。

 

 

(出典)母子世帯・父子世帯は平成23年度全国母子世帯等調査  全世帯の進学率は平成26年度学校基本調査     生活保護受給率は平成24年度被保護者調査・平成24年国民生活基礎調査  相対的貧困率は平成25年国民生活基礎調査

(注1)      専修学校等=専修学校(一般課程・専門課程)+各種学校

(注2)      専修学校=専修学校(専門課程)

 


 

 

 

AERA 201674日号に、大特集「貧困はすぐ隣にある」が掲載されています。その一部を抜粋します。

 

 

貧困放置すると経済損失50兆円

 

 子供の貧困を何の対策もせずに放っておけば、15歳の1学年だけでも、経済損失は約2.9兆円におよび、国の財政負担は約1.1兆円増える―。日本財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが昨年末、こんな試算を発表した。

 

 問題を放置すると、学力や進学率など教育格差が生まれ、将来の賃金格差にもつながる。「子供の貧困対策に対する大綱」によると、大学や専門学校などへの進学率は、全世帯が73.3%なのに対し、生活保護世帯は32.9%、児童養護施設だと22.6%、ひとり親世帯は41.6%と、経済状況によって進学率に格差があるのは明らかだ。貧困世帯の子どもは塾に通えないということもあるが、家庭環境に問題を抱えていて勉強に身が入らないという背景もある。

 

 

 試算では、進学率が今のままのシナリオと、貧困世帯の進学率が非貧困世帯並みに改善するシナリオを比べた。しかも、この推計はたった1学年分なので、これを子ども全体(18歳以下)で考えると、単純計算で国全体の経済損失は50兆円以上。さらに生活保護の支給などが増え、国の財政負担が約20兆円も増える。子どもの貧困は「かわいそうだから対策すべき」と思われがちだが、実は経済問題として解決すべき課題でもあり、当事者だけの問題ではなく、将来への投資として国全体が取り組むべき課題なのだ。

 

 

シルバー民主主義

 

国立社会保障・人口問題研究所によると、年金や介護など高齢者向けの13年度支出は546247億円。一方児童手当や保育所整備などの子育て向けの支出は6568億円。対GDP比で見ても、高齢者向けは11.31%、子育て向けは1.25%と9倍の開きがある。背景には、高齢化が有権者の4割を占め、そのうえ下の世代と比べて投票率が高いことがあると考えられている。

 

 

現代の貧困は目にみえない(スマホは必須 100均でオシャレ)

 

 最近では、スマホは中学生になると学校生活を普通に過ごすための必須アイテムにもなりつつある。都内で中1の長女と小5の長男を育てるシングルマザーの女性(34)も、長女にスマホを持たせている。本来は、長女が高校生になってアルバイトができるようになったら自分で買ってもらおうと思っていた。だが、部活の練習や試合のスケジュール確認のほか、文化祭などのイベント準備でクラスの出し物を決めたり、休日に集まったりするのにも「LINEは中学生に必須」ということがわかった。「うちの子だけ持たせずに仲間に入れなかったら・・・と考えて、持たせることにしました」

 

 お小遣いも長女には月に2千円渡している。「娘は100円均一でマニキュアを買ったりして、女の子同士のオシャレトークも乗り越えているみたいです」

 

 こうした世帯の子どもたちは、ファストファッションや100円均一の商品などで見た目には他の子どもたちとそう変わらなくても、塾通いや余暇の過ごし方などで差がつき、自己否定的な考え方を持ってしまうことも多い。

 

 

なぜ日本には寄付文化が根付かない?

 

 平均3403円。これが日本の2人以上世帯の年間平均寄付金額だ(総務省・家計調査2015年)。

 

 日本は圧倒的に寄付後進国だ。CAF WORLD GIVING INDEXの世界寄付ランキングでは145か国中102位で、先進国では飛び抜けて最下位。寄付者の数も東日本大震災のあった2011年の7026万人をピークに右肩下がりだ。何が私たちを寄付から遠ざけているのか。

 

「貧困問題と寄付が結びつきません。貧困の解決は国の仕事のはず。そのほうがより幅広い支援ができると思います。」

 

「学童保育費が払えない家庭を知っている。何とかしてあげたいとは思うが、そもそも他人に手を差し伸べる余裕がありません。」

 

「税金は十分に払っている。年金もいつからどのくらいの金額がもらえるかわからないですし、寄付にお金を捻出するには難しい。」

 

「自然災害ですら寄付の使い道が不明なのに、貧困問題はなおさら。こども食堂や無料塾はよい取り組みだとは思うが、寄付をしても本当に生活に困窮している子どもに届くのか疑問がある。」

 

 

 実は今、納税よりも寄付に投資したい人が増えている。後押しするのは、11年に変わった寄付税制だ。日本の寄付控除は認知度は低いものの、米国に比べても優れているとおわれる。

 

 寄付控除の対象となる認定NPOは全国に700以上あり、寄付金額から2千円を引いた額の40%の税額控除が受けられる。つまり5万円寄付すれば19200円の税額控除が受けられるのだ。だが申告率は14.3%にとどまる。